• Shimauchi Mika

わたしのコレクション 中園孔二さんの絵


 2016年この絵は東京で買った。無題。ぜんぜん迷いがない。いろんな理由で人はお金を払う。下世話なことをいうと、この絵は中古の軽トラック1台は余裕で買える値段だった。私は右手に見える手が良くみたら血が噴き出しているようなんだけど、この絵を見たときはグローブをつけているようにも見えた。から買った。このとき私は、地震が起きて、仕事が中断。余震のある中に、早朝にパンを作る仕事をして、それで買った大切な作品。

「でもとにかくさ、だだっぴろいライ麦畑みたいなところで、小さな子ども達がいっぱい集まって何かのゲームをしているところを、僕はいつも思い浮かべちまうんだ。何千人もの子どもたちがいるんだけれど、他には誰もいない。つまりちゃんとした大人みたいなのは一人もいないんだよ。僕のほかにはね。それで僕はそのへんのクレイジーな崖っぷちに立っているわけさ。で、僕がそこで何をするかっていうとさ、誰かがその崖から落ちそうになる子どもがいると、かたっぱしからつかまえるんだよ。つまりさ、よく前を見ないで崖の方に走っていく子どもなんかがいたら、どっからともなく現れて、その子をさっとキャッチするんだ。そういうのを朝から晩までずっとやっている。ライ麦畑のキャッチャー、僕はただそういうものになりたいんだ。たしかにかなりへんてこだとは思うけど、僕が心からなりたいと思うのはそれくらいだよ。かなりへんてこだとはわかっているんだけどね。」村上春樹訳「キャッチャー・イン・ザ・ライ」単行本P286-287


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